

1995.12
建築家の事務所を訪ねる
雑誌に載った彼設計の自邸を見て電話連絡後、対面。青山のマンションの一室、小さな事務所ではあったが、新進の有能な建築家、との好印象を持った。建築家氏は偶然、僕と同い年。事務所にはアシスタントが男女各1名、コンクリートブロックとアクリル板を使った打ち合わせテーブル。敷地の図面を見せ、いくつかの質問をなげかけたところ、ぜひやらせて欲しい、まかせて欲しいとの答え。実は他にもうひとり候補がいたが、その方はすでに年輩の大御所でもあり、悩んだあげく彼のやる気に賭ける決心をする。
1996.1
僕(施主)からのオリエンテーション
自分が集めた切り抜き等の資料を一冊のファイルにまとめ、こちらが何を望んでいるかを具体的かつイマジナティブに伝えたつもり。コンクリート打ちっ放し、吹き抜け、中庭・・・ 検討してみる、との返答。
1996.2
建築家からのプレゼンテーション
特大模型による唯一案のプレゼンだったが、ここに来るまでに10案以上を検討したとのこと。オプションの希望だったものが建築家のイマジネーションを刺激したようで、すべてそれを中心にした設計になっていた。冒険的要素は大きいがこちらの希望の1つでもあり拒否しがたく、その他の希望もひととおり上手く満たしてくれていて納得。ディテールや設備など細かい部分については以後詰めていくとのことで、基本設計にGOを出した。
1996.4
申請書類を役所へ提出
承認を待ちながら細部の検討を進める。打ち合わせやFAXのやりとりの毎日。
1999.7
申請承認
予定より2か月近く遅れての承認。この間かなりジリジリ・・・ 道路よりあと5cm後退せよとの指導を受けて図面修正。
1999.9
建設会社との契約
建設会社10社余りにご参加願っての見積もり競合および減額プロセス。ここで予算と合わない場合は設計・仕様の変更も余儀なくされる。この建物でもかなりばっさりやった。ぎりぎりまで建築費を削る日々。建設会社は最終的に1社に絞り込まれ「その会社はほんとうに信用できるか」というこちらの質問に対しても建築家は大プッシュだったので(いま思えば、彼にとっても初めて使うところであるにもかかわらず)9月末に契約を交わし、やっとのことで着工にこぎつける。まだまだ残っている細部の詰めや設備の具体化は施工と同時進行ということに。
1996.10
着工
ついに着工、と言っても実際に工事が始まったのは11月になってから。しかも、設計前に地質調査をやったにもかかわらず、基礎工事のために掘ったところ、地盤が調査結果よりも悪いことが判明。急きょ基礎の仕様を変更、予定外の出費が発生。
1997.4
なぜこんなに段取りが悪いのか?
寸法間違い、やり直し、職人の確保ミス、仕様未決定のままの保留・・・工事スケジュールは遅れに遅れ、契約書では97年3月に完成するはずが7月になるとの知らせ。アパートの契約をなんとか延長してもうらう。
しかし7月になっても結局できない。頼んだ家具や電化製品、アパートにも置けないので無理を言って配送を延期してもらう。
1997.9末
半年遅れ、どたばたで竣工、やっとのことで入居
しかし季節はすっかり秋でオプション設備は来夏までおあずけ。いちおう水を張ってみたところ、あろうことか何か所も水漏れ。さらには雨が降ればトップライトから雨漏り、地下部分のPコンから雨水侵入、ガスがつかない、電気配線がおかしい、木が枯れるなどさまざまなトラブルが相次ぐ。
また引っ越した日には入り口から冷蔵庫が入らず、3日間玄関先に置きっぱなし。テラスから吊り上げましょう、ということで足場まで組んで4人がかりでようやく入った。いつか冷蔵庫が壊れたら、またこんなことするのか?
トラブルへの対応もスムーズにはいかない。違うところばかり何度もやり直して、いっこうに水漏れは治まらず、最後はシロウトの僕が指摘した部分を直して治まった。
現場監督「そこじゃないと思いますけど、やってみますか?」
僕(そこだったじゃねーか。バカも休み休み家~!)
仕上がりだってけっして最高とは言えません。打ち上がったコンクリートを見てのセリフ。
現場監督「最近の(コンクリート打ちの)型枠は質が落ちてるなあ」
僕「今頃わかっても困るんだけど」
建築家「いやあ、ぜんぜん、マシなほうですよ」
僕「・・・」
壁には型枠のベニヤくずがいっぱい張り付き、あちこちに採寸マーカーの跡、わけのわからない汚れ、傷。建築家がプッシュし、選定に選定を重ねた建設会社の仕事ぶりがこれか?
建設会社からは正当な違約金の提示もないまま、こちらが頑固な態度で臨むと
「今後一切のメンテを行わない」との脅し。
1999.9
築2年
入居当初だけで終わったならまだしも、それ以後、築2年になる現在に至るまで 軽く100項目は超えるであろう、ありとあらゆる不具合 にみまわれる。「またか」って感じ。
こんなことが起こらないように監理者 (建築家) を置いたはずなのに。
建築家はひたすら建設会社の責任にするし、建設会社は下請け業者のせいにする。修理工事が出ては入っての毎日・・・ まったくもって住んでる心地がしない。
それでもこの2年、発覚した問題をひとつひとつ、つぶしてきた。けれど、鉄筋やコンクリート内部など見えない部分は、大地震が起こるまでほんとうのところはわからない。耐久年数100年というのもどこまで信じていいか。(ちなみに建設会社による保証は10年。あとの90年は?)何千万円もかけた家の、これが実体。
***
大変だったけど最終的に満足できたなら いいんじゃないい?
満足? 自分を納得させるしか・・・
2001.4月
バスルームのガラスドアに異変あり。開けたドアは自動で閉まるようになっているが、そのスピードが超スロー。一分くらいかけてゆ~っくり閉まるのだ。調整をし直そうと思い、床のプレートを開けようとするがネジが固まっていて回らない。このまま続けるとネジ溝がつぶれてしまいそうなので一旦断念。クレ556、自転車油を差すがダメ。最後にプレート周りを布でカバーしながらのハンマー叩きで、ネジが回るようになった。(この解決までに1か月以上)
プレートを開けると中はサビで真っ赤。怖くなったが、中のスピード調整ネジはクレ556を噴射するとなんとか回すことができ、オートクローズの速度を正常に戻すことができた。次に開けることがあるときのためにプレートのネジ穴にもクレ556をさしてから閉じる。
トップライトのロールスクリーンに染みを発見。恐らくはバスルームのドアが閉まりにくい日々が続いたため、トップライトに結露が発生し、夜も引きっぱなしになっていたスクリーンにポタポタ落ちたのだろうと推測される。クリーニングに出すにも取り外しが容易でない構造のため、とりあえず染みをぼかすように濡れた布で拭いた。
2002.1月
ある日寒いなと思ったら冷暖房のメインスイッチが消えている。スイッチを入れ直しても結局点滅してからまた消える。見てもらったところ、屋上のローテンションモーター付近からの水漏れが確認される。水圧が下がると安全装置が働いてヒートポンプをOFFにするとのこと。モーター部分のユニットごと取り替えることになる。ただし北海道から取り寄せるので数日かかるらしい。それまでの応急処置として水を足すがそれが原因でモーターがショート。ブレーカーが落ち、完全暖房ストップとなるがユニットの入荷は予想より早く、翌々日には復旧できた。その際、ユニットの片方のジョイントが痛んでいたことを聞く。これは取り付け時の配管業者(建設会社下請け)によるもの。またメインのヒートポンプとローテーションモーターはON/OFFが連動すべきところがそのように配線されていなかった点も修正。(この配線ミスにより、ローテーションモーターはメインのヒートポンプを切っても24時間365日運転していたことになる。それ故にこの部分の老朽化が早まったことが原因かどうかははっきりしないが、少なくとも相当な電力を無駄に使わされていたことになる。これも建設会社下請けの電気設備業者によるもの。)今回のトラブルに際して冷暖房設備会社のKさんは迅速に対応してくれ、修理費も請求されなかった。
2002.2月
修理のアフターフォーローも兼ねて冷暖房設備会社のKさんがチェックに来てくれる。その際、最近「効き」が悪くなったような気がする旨話す。具体的には、冷房時は外気との温度差も小さい分充分に「効き」を実感できるが、暖房時のピークの12月から2月はパワーを最大にしても17~18度Cにまでしか室温が上がらず薄ら寒い。これは新築当初からそうで、期待したほど暖かく感じたことがないなどの感想を話す。見てもらったところ、どうやらラジエーターフィンに詰まっている部分があるらしい。フィンの全てが暖かくならなかったのは新築当初からで、その際には、流入の部分と流出の部分で違うから、というような説明を受けていた記憶がある。今回改めて詳しく聞いてみたところ、それは間違いではないが現状は別の症状があるように思うとのこと。まず2系統あるトランジションモーター(これは修理した部分とは別で室内の設備に水を送るもので、修理したモーターは屋上のヒートポンプまわりで水をローテーションさせるもの)の流量を上げる。各系統の流量は4段階ある設定のうちA系統1、B系統2と低めに設定されていたものを、ともに3に設定変更。最大にするとパイプ内を水が流れる音が気になるので3に留めたものの、これで様子を見たところ心なしか暖かくなった気がした。当初この音でクレームを出したところ最低の設定にされたのかなと想像する。
しかし依然、暖かくならないフィンがあるため、目詰まりの可能性を確認、フラッシングという作業を後日行うことに。この作業は一旦設備を止め、水道からの水で通常と逆方向に流して管内を洗浄するというもの。これを行ったところ、Kさんも驚いたことに管内から出るわ出るわ、
泥。
管内の水は錆によって黒くなっているのが通常だが、これは錆ではないとのこと。設備配管が完了した後から泥が混入することは考えられないので、恐らくは工事中の養生不備のために入ったのだろう。そして管の内側にこびりついた泥が年数を経て分散、多方のフィンを詰まらせたのであろうと推測。また新築当初もこのために100%の能力を発揮していなかった可能性があると。冷暖房設備の会社はあくまでメーカーであり、施工は工事会社が行うもの。このへんの責任分担は微妙なところではあるが、こういうことはよくあるのか聞いてみたところ、彼の知る限りない、とのこと。フラッシングという作業自体も年数を経た設備でも必須ではないという。ここに来てまで性悪業者の怨念が祟っていることに怒るやら呆れるやら。しかしながらメーカーの好意により無償でこの洗浄作業を(1回では完全に泥を取り除けるところまでは行けず)計2回に渡って念入りに行ってもらったおかげでほとんどのフィンが暖かくなるのを確認できた。その後、実際に室温は20度Cまで上がる日もあり、これなら納得いく、という暖かさを実感できた。これが本来の性能なのだろう。それでも100%までは回復できない。数本のフィンは目詰まりが取れないし、今後年数を経てもこの状態を維持するかも確認していく必要がある。
最後に冷暖房設備会社のKさん、そしてGさんにはほんとうに感謝。来年こそは暖かい冬が迎えられそうです。
2002.7月
プール排水口の内蓋、およびテラス排水口の蓋が錆びて汚くなった。塗装しても錆は収まらないので、ホームセンターで適当なアルミパンチングメタルを買って加工、交換する。
1F WC収納扉およびアール部分収納扉の蝶番が錆だらけだったので、金属ブラシでこすり、グレーの防錆塗料を塗る。
バスシャワーノブおよびバスタブ給水ノブをホームセンターでみつけた交換パーツに。(一カ所もとのパーツのネジ溝がつぶれていて回らず、いろんな手法を試したがすべてダメで、最後はプラスチックの部品を万力で破壊しての大作業となった。)
プールの道路側ガラスに乳白のフィルムを貼る。
(製品:3Mミルキーミルキー リフォームの会社に依頼し費用7万円也)
2003.3月
バスタブ底のアクリル板に亀裂が入る。
竣工当時から排水穴付近に小さな亀裂があった。少し前にその亀裂が延びていることに気づき、これはヤバいと思い、補強のアクリル板を下から貼り付けるべくホームセンターで加工してきた矢先、パキンという音。何だろうと思って探すと、バスタブの底を縦断する大きな亀裂。
幸い水漏れは少ないし、完全には割れていない。上側が皮一枚でつながっている状態なので、使用は可能。最初は恐る恐る入ったが、しだいに大丈夫だとわかって慣れてはいった。子供の「直して欲しいな」の声でそのままではいけないと思い、建設会社に連絡を取る。あえて平田制作部長を指名して事情を説明、調べて連絡するとのことだったが、あれから2ヶ月、何の音沙汰もない。
バスタブ交換は大工事になるだろうし、補修と言ってもどんな手法があるのか。自分で調べてみるが、良策なし。アクリルサンデーを流し込む方向でこんどやってみようと思う。しかし下から流し込めるかな・・・
それ以降も、そして今でも・・
同じ箇所あるいは新たな箇所の修理や頻繁なメンテナンスはつづく・・

